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ハンムラビ法典とは?『目には目を』の本当の意味|ルーヴルで見られる古代バビロニアの傑作

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ルーヴル美術館のハンムラビ法典碑 正面

「目には目を、歯には歯を」。ハンムラビ法典と聞いて、まずこの言葉を思い浮かべる人は多いと思います。

ただ、ハンムラビ法典は単なる「復讐のルール」ではありません。今から約3700年以上前、古代バビロニアの王ハンムラビが、家族、財産、商取引、労働、医療、建築など、社会のさまざまな争いにどう判断を下すかをまとめたものです。

そして、その文章が刻まれた高さ2.25メートルの石碑は、現在パリのルーヴル美術館にあります。教科書で名前を知っているハンムラビ法典を、実物の石碑として見ることができます。

ハンムラビ法典碑を現地で見たい方は、ルーヴル美術館のチケット・予約・入口・所要時間ガイドも参考にしてください。

ルーヴル美術館に展示されているハンムラビ法典碑
ルーヴル美術館に展示されている《ハンムラビ法典碑》。高さは2.25mある。Photo: Coyau, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons.
先に3行でまとめると
  • ハンムラビ法典は、紀元前18世紀のバビロニア王ハンムラビによる約280件の法的判断の集成
  • 「目には目を」は無制限な報復ではなく、同害報復(タリオ)の考え方。ただし身分によって罰は異なる
  • 実物の石碑は現在、ルーヴル美術館リシュリュー翼0階・227室で見られる
目次

ハンムラビ法典とは?

ハンムラビ法典は、古代メソポタミアのバビロニア王ハンムラビの治世にまとめられた法的判断の集成です。ルーヴル美術館は、石碑の文章が刻まれた時期を紀元前1750年頃としています。

一般には「法典」と呼ばれますが、現代の六法全書のように、国の法律を体系的に網羅したものとは少し違います。ルーヴルはこれを、王が下した282の司法判断・判例をまとめたものと説明しています。

扱われるテーマは驚くほど生活に近く、財産、売買、借金、結婚、離婚、相続、賃金、農業、医療、建築などに及びます。「王国をどう治めるか」という大きな話だけではなく、人と人のあいだで問題が起きたとき、どう決着をつけるかが細かく書かれているのです。

「世界最古の法律」ではない

ハンムラビ法典は「世界最古の法典」と紹介されることがありますが、これは正確ではありません。メソポタミアには、ハンムラビより数百年前のウル・ナンム法典など、さらに古い法文書が残っています。

ハンムラビ法典が特別なのは、単に古いからではなく、非常に多くの条文がまとまった形で残り、それが巨大な石碑として現存していることです。

「目には目を、歯には歯を」の本当の意味

ハンムラビ法典で最も有名なのが、「目には目を、歯には歯を」と訳される規定です。

第196条では、ある自由人が同じ身分の人の目を傷つけた場合、自分の目を失うという趣旨の規定があります。第200条も同じように、同等の身分の人の歯を折れば、自分の歯を折られるという内容です。

これは一般に同害報復(タリオ、lex talionis)と呼ばれる考え方です。「やられたら好きなだけやり返していい」という意味ではなく、受けた損害と対応する形で罰を決める発想でした。

ただし、ここを現代的な「平等なルール」と考えるのも違います。法典では相手の社会的身分によって処罰が変わり、同じ傷害でも、相手が自由人か、別の身分の人か、奴隷かによって、身体刑になったり金銭賠償になったりします。

つまり「目には目を、歯には歯を」は……
復讐を推奨する一言というより、「この場合は、この程度の罰」という対応関係を示した規定。ただし、その基準は身分制社会の価値観にもとづいていました。

実際にはどんな法律があった?

ハンムラビ法典を読むと、古代バビロニアの暮らしがかなり具体的に見えてきます。有名な例をいくつか挙げてみます。

テーマ内容の例
傷害同等の身分の人の目を傷つけた場合、対応する身体刑を科す
医療医師が手術で患者に重大な損害を与えた場合、厳しい罰を受ける規定がある
建築建てた家が崩れ、家主が死亡した場合、建築した者に重い責任を負わせる
裁判裁判官が自らの過失で判断を覆す事態になった場合、罰金や罷免の規定がある
家族結婚、離婚、相続、養子などについて細かな規定がある

現代から見ると、刑罰の厳しさに驚くものも少なくありません。一方で、医師、建築者、裁判官など、専門的な仕事をする人にも責任を負わせている点は興味深いところです。

法典は「犯罪者をどう罰するか」だけではなく、社会の中で誰が何に責任を持つのかを可視化する役割も持っていました。

石碑の上にいる2人は誰?

ハンムラビ法典碑 上部のハンムラビ王とシャマシュ神の浮彫
石碑上部の浮彫。左がハンムラビ王、右に座るのが太陽神・正義の神シャマシュ。Photo: Georgezhao, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons.

ハンムラビ法典碑を美術作品として見るなら、まず注目したいのが最上部の浮彫です。

左に立っている人物がハンムラビ王。右の玉座に座るのが、メソポタミアの太陽神・正義の神シャマシュです。

シャマシュの肩からは炎のような光線が伸びています。足元には山を表す台座があり、毎朝、山の向こうから昇る太陽神であることを示しています。ルーヴルの解説では、シャマシュは王に権力の象徴を差し出す姿で表されています。

大事なのは、ハンムラビが自分一人の思いつきで法律を決めているようには描かれていないことです。正義を司る神の前に立ち、その権威を受けて王が裁きを行うという構図になっています。

つまり、この浮彫は単なる挿絵ではありません。「この法と裁きには神聖な正当性がある」と示す、いわば石碑全体のタイトル画像のような役割を果たしています。

高さ2.25m。石面を埋める楔形文字

ハンムラビ法典碑 全体 ルーヴル美術館
縦長の石面を埋める楔形文字。写真で見るよりも、実物では「文字が刻まれた巨大な物体」としての存在感がある。Photo: Rlunaro, Public domain, via Wikimedia Commons.

石碑は高さ225cm、幅79cm、厚さ47cm。ルーヴル公式では材質を玄武岩(basalt)としています。

上部の浮彫を除くと、表面の大部分を細かな楔形文字が覆っています。文字は古バビロニア語で記され、上から下へ、規則的な列となって刻まれています。

教科書では上部の人物像だけが切り取られることもありますが、石碑全体を見ると、表面の大部分が細かな楔形文字で埋め尽くされていることがわかります。2メートルを超える石にこれだけの文章が刻まれていること自体が、この法典の大きな特徴です。

なぜバビロンの法典が、イランのスサで見つかった?

この石碑は、バビロンではなく、現在のイランにある古代都市スサ(Susa)で発見されました。

ハンムラビの時代から数百年後、エラムの王シュトルク・ナフンテがメソポタミアへ侵攻し、戦利品として石碑をスサへ持ち去ったと考えられています。

そのまま長いあいだ地中に眠り、1901〜1902年のフランス隊による発掘で発見されました。ルーヴルによると、石碑は1904年から同館で展示されています。

つまり、この1本の石碑だけで、バビロニアの法、王権、宗教、戦争、発掘、近代の博物館まで話がつながります。単なる法律史の資料として見るには、少しもったいない作品です。

ルーヴルのどこで見られる?

2026年9月現在、《ハンムラビ法典碑》はルーヴル美術館のリシュリュー翼・0階・227室に展示されています。部門は古代オリエント美術です。

《モナ・リザ》や《サモトラケのニケ》があるドゥノン翼とは方向が違うので、代表作だけを追っていると見逃しやすい場所です。行く前に「227室」を覚えておくと探しやすくなります。

ルーヴルでハンムラビ法典碑を見る予定なら、入館チケットは事前に確認しておくと安心です。

料金や予約方法、入口、所要時間を先に確認したい方は、ルーヴル美術館のチケット・予約ガイドもあわせてどうぞ。

ルーヴル全体の代表作を先に知っておきたい方は、「ルーヴル美術館とは?有名作品・見どころ完全ガイド」もあわせてどうぞ。《モナ・リザ》《ミロのヴィーナス》《サモトラケのニケ》などと一緒に、回り方を考えられます。

実物を見るときの3つのポイント

  1. まず離れて全体を見る
    2.25mの石碑が、人の身体より大きな「法律の塊」として作られていることを感じられます。
  2. 次に上部のハンムラビとシャマシュを見る
    王が正義の神の前に立つ構図から、法と王権の関係が見えてきます。
  3. 最後に文字へ近づく
    細かな楔形文字が石面を埋める密度を見ると、「282の判断を石に残す」という行為そのものの凄さが実感できます。

よくある質問

ハンムラビ法典は世界最古の法律ですか?

いいえ。ハンムラビ法典より古いメソポタミアの法文書が残っています。ハンムラビ法典は「世界最古」ではなく、古代世界を代表する、最も有名で保存状態のよい法的文書のひとつと考えるのが正確です。

「目には目を」は復讐しろという意味ですか?

単純に「好きなだけやり返せ」という意味ではありません。損害と罰を対応させる同害報復の考え方です。ただし、古代バビロニアは身分制社会だったため、すべての人に同じ罰が適用されたわけではありません。

ハンムラビ法典は今どこにありますか?

パリのルーヴル美術館にあります。2026年9月現在、リシュリュー翼0階・227室で展示されています。

石碑に書かれているのは何語ですか?

古バビロニア語で、楔形文字によって刻まれています。

まとめ|「法律」ではなく、2.25mの石として見ると面白い

ハンムラビ法典は、紀元前18世紀のバビロニアでまとめられた約280件の法的判断の集成です。「目には目を」という言葉だけが有名ですが、実際には家族、財産、仕事、医療、建築など、当時の社会全体が見えてくる資料です。

でも、ルーヴルで見るなら、文章の意味を知るだけではもったいないと思います。

2.25メートルの黒い石。上には王と神。その下をびっしり埋める楔形文字。「社会のルールを石に刻み、何千年も残そうとした」こと自体が、この作品の迫力です。

《モナ・リザ》や《ミロのヴィーナス》とはまったく違う方向から、ルーヴルという美術館の広さを感じさせてくれる1点です。パリでルーヴルを訪れるなら、227室まで足を運んで実物を見てみてください。

PARIS / MUSÉE DU LOUVRE
ハンムラビ法典をルーヴルで見るなら
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▶ ルーヴル美術館のチケット・予約ガイドへ

参考資料

展示場所・作品情報は2026年9月28日時点で確認。展示室や公開状況は変更される場合があります。

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