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少女漫画・インフィニティ展2026|萩尾望都・山岸凉子・大和和紀の原画800点以上、見どころ・チケットを解説

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国立新美術館の外観 東京都港区六本木 黒川紀章設計

1970年代、少女漫画は「女の子向けの読み物」という枠を大きく越え、心理、歴史、SF、身体、ジェンダー、ページ構成そのものまで表現の可能性を押し広げました。その転換点を、萩尾望都(はぎお もと)・山岸凉子(やまぎし りょうこ)・大和和紀(やまと わき)という3人の仕事からたどるのが、国立新美術館の「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」です。

会期は2026年10月28日(水)〜2027年2月8日(月)。モノクロ・カラーを合わせて800点以上の原画が展示される予定で、国立の美術館で開催される初の大規模な少女漫画展と案内されています。

この記事では、3人をあまり詳しく知らない人でも楽しめるように、展覧会の見どころ、代表作、原画を見るポイント、会期・料金・前売券まで整理します。

目次

少女漫画・インフィニティとは?

展覧会の軸になるのは、いずれも1960年代後半にデビューし、その後半世紀以上にわたって第一線で作品を発表してきた3人です。

  • 萩尾望都(はぎお もと):『ポーの一族』『トーマの心臓』『11人いる!』など。幻想、少年期の心理、SFへ少女漫画の世界を広げた作家。
  • 山岸凉子(やまぎし りょうこ):『アラベスク』『日出処の天子』『テレプシコーラ/舞姫』など。身体表現、歴史、神話、人間の精神の深部まで踏み込む作品で知られます。
  • 大和和紀(やまと わき):『はいからさんが通る』『ヨコハマ物語』『あさきゆめみし』など。歴史と物語を結びつけ、時代の中で生きる女性を鮮やかに描いてきました。

3人は同じ「少女漫画」という言葉で括られますが、作品世界はかなり違います。だからこそ、同じ時代に表現の幅がどこまで広がったのかを比較できるのが、この三人展の面白さです。

なぜこの3人? 学芸員が選んだ理由

萩尾望都・山岸凉子・大和和紀は、作風が似ているから選ばれたわけではありません。むしろ重要なのは、同じ時代に少女漫画から出発しながら、それぞれ別の方向へ表現領域を押し広げ、その後も長く第一線で描き続けてきたことです。

国立新美術館の担当研究員・吉村麗さんは、この3人を選んだ理由について、マンガ史の中で彼女たちが果たしてきた重要な役割を示すと同時に、「マンガ家として長いキャリアを歩むとはどういうことか」を考えるためだと説明しています。

3人が広げた方向は、むしろ違う
萩尾望都:SF、幻想、時間、記憶、性、内面世界
山岸凉子:身体、精神、欲望、歴史、神話
大和和紀:歴史、古典、女性の自立、大衆的な物語

萩尾望都と山岸凉子は、1970年代に少女漫画を革新した「24年組」の代表的作家として知られています。一方、大和和紀は『はいからさんが通る』『あさきゆめみし』などを通して、歴史や古典を広く読者に届けてきました。

この3人を並べることで見えてくるのは、少女漫画が一つの様式ではなく、SFにも、歴史にも、身体表現にも、女性の生き方にも広がっていったことです。展覧会タイトルの「インフィニティ=無限性」は、その広がりそのものを表しています。

さらに吉村さんは、漫画を単なる人気コンテンツとして紹介するのではなく、マンガ史の中で何を文化的価値として残すのかを考えることも、美術館のキュレーションの役割だと述べています。3人はいずれも長い創作歴を持ち、本人の証言を記録できる現在だからこそ、まとめて検証する意味があるという視点です。

「有名な3人を集めた」というより、3本の異なる道を並べることで、少女漫画そのものの可能性を見せる。この展覧会は、そこに大きな企画意図があります。

参考:国立新美術館「少女漫画の世界」パリ講演レポート、「美術館における漫画の拡がり」ロンドン講演レポート

見どころ1|800点以上の原画で「線」と「ページ」を見る

本展ではモノクロ・カラー原画を合わせて800点以上が展示される予定です。単に「懐かしい名場面を見る展覧会」ではなく、印刷物では見えにくい線の強弱、修正の跡、色の重なり、コマと余白のバランスまで見られるのが原画展の魅力です。

漫画は一枚の絵だけで完結する表現ではありません。視線がどこから入り、どのコマへ移り、どこで時間が止まるのか。ページ全体が設計されています。美術館で原画を前にすると、物語だけでなく「どう読ませているのか」が急に見えてきます。

なおカラー作品には前期・後期で展示替えが予定されています。目当ての作品がある場合は、会期中に公式サイトの出品情報を確認してから行くのがおすすめです。

見どころ2|萩尾望都――少女漫画にSFと内面世界を持ち込んだ

萩尾望都の代表作として紹介されるのが、『ポーの一族』『トーマの心臓』『11人いる!』などです。

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『トーマの心臓』:ドイツの寄宿学校を舞台に、少年の死をきっかけとして、愛、罪悪感、救済を描く心理ドラマ。
『11人いる!』:宇宙大学の最終試験で、10人のはずのチームに11人。閉ざされた宇宙船で「余分な1人」の謎を追うSFミステリー。

萩尾作品で注目したいのは、出来事を説明するためだけにコマが並んでいないこと。人物の記憶や感情、時間の揺らぎが、視線や余白、ページのリズムによって表現されます。SFや幻想というジャンルを使いながら、読者を人物の内側へ連れていく。その方法自体が、少女漫画の表現領域を広げました。

見どころ3|山岸凉子――身体と精神を描く

山岸凉子では、『アラベスク』『日出処の天子』『妖精王』『テレプシコーラ/舞姫』などが紹介されます。

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山岸凉子の代表作をまとめて読む
『アラベスク』:旧ソ連のバレエ界を舞台に、才能に自信を持てない少女が、厳しい指導と競争の中で成長していくバレエ漫画。
『テレプシコーラ/舞姫』:バレエに打ち込む少女たちの成長を、身体の痛み、競争、家族、進路まで現実的に描いた長編。
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バレエを扱った作品では、身体の重心や動きそのものが物語になります。一方、『日出処の天子』のような歴史作品では、既存の人物像を大胆に読み替え、人間の欲望や孤独、権力関係へ踏み込んでいきます。美しい線の奥に、かなり鋭い心理描写があるのが山岸作品の特徴です。

見どころ4|大和和紀――歴史の中で生きる女性を描く

大和和紀では、『はいからさんが通る』『ヨコハマ物語』『あさきゆめみし』『イシュタルの娘〜小野於通伝〜』などが紹介されます。

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大和和紀の代表作をまとめて読む
『はいからさんが通る』:大正時代、快活な女学生・紅緒が、許婚との出会いをきっかけに時代の荒波を生き抜く恋愛コメディ+成長物語。
『ヨコハマ物語』:明治の横浜を舞台に、異なる境遇の少女たちが恋、友情、自立を求めて生きる歴史ロマン。
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大和作品の魅力は、歴史や古典を「遠い過去」にしないことです。大正時代や『源氏物語』の世界を舞台にしていても、登場人物が自分の人生をどう選ぶかという問題は現在につながっています。衣装や背景の華やかさだけでなく、女性が時代の制約の中でどう動くのかを見ると、作品の印象が変わります。

画像について
萩尾望都・山岸凉子・大和和紀の漫画原画や展覧会公式ビジュアルは著作権で保護されています。ARTZUKANではそれらを無断転載せず、各作家の章では関連書籍の表紙を紹介しています。展覧会で展示される原画そのものは、公式サイトや会場で確認してください。

会期・開館時間・休館日

国立新美術館の外観 東京都港区六本木 黒川紀章設計
会場となる国立新美術館の外観。東京都港区六本木、黒川紀章の設計。2018年10月撮影。Kakidai, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons。※展覧会の公式ビジュアルではありません。
展覧会名少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展
会期2026年10月28日(水)〜2027年2月8日(月)
会場国立新美術館 企画展示室2E
開館時間10:00〜18:00/金・土は20:00まで(入場は閉館30分前まで)
休館日毎週火曜日、11月4日、12月28日〜2027年1月5日
※11月3日・12月8日は開館

同じ国立新美術館では、「ルーヴル美術館展 ルネサンス」も2026年12月13日まで開催されています。両展の会期が重なる時期に訪れるなら、あわせてチェックできます。

チケット料金|前売なら一般200円引き

前売当日
一般2,000円2,200円
大学生800円1,000円
高校生300円500円

前売券のオンライン販売は2026年10月27日(火)23:59まで。アソビュー!や楽天トラベルなどでも販売されています。中学生以下は無料です。

どんな人におすすめ?

  • 萩尾望都・山岸凉子・大和和紀の作品を読んできた人
  • 1970年代の少女漫画がなぜ「革命的」と言われるのか知りたい人
  • 漫画原稿を、物語だけでなく線・構図・デザインとして見たい人
  • 『源氏物語』や日本史、SF、バレエなど幅広い題材に興味がある人
  • 漫画と美術館の関係に興味がある人

まとめ|3人を並べるから見えてくる「少女漫画の広さ」

この展覧会の価値は、名作の原画を大量に見られることだけではありません。幻想とSFへ向かった萩尾望都、身体と精神へ踏み込んだ山岸凉子、歴史と女性の生き方を描いた大和和紀。3人を同じ空間で見ることで、少女漫画という表現が一つの様式ではなく、いくつもの方向へ枝分かれしながら発展してきたことが分かります。

原画800点以上という規模も大きく、国立新美術館で少女漫画を「美術館で見る表現」として考える機会になりそうです。前売券は10月27日までなので、行く予定が決まっている人は開幕前に確認しておくと安心です。

参考

ほかの展覧会も見る → 東京の美術展・展覧会まとめ

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