2026年の秋、六本木でめったにない展覧会が始まります。レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》が日本初公開。ルーヴル美術館所蔵のダ・ヴィンチ作品が来日するのは、1974年の《モナ・リザ》以来、実に52年ぶりです。
会場は国立新美術館。「ルーヴル美術館展 ルネサンス」と題して、パリのルーヴル美術館から選ばれた50点余りが海を越えてやってきます。その目玉が、ダ・ヴィンチ作とされる《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》の初来日。正直、これだけでも僕は行く理由になると思っています。
この記事では、展覧会の見どころ、会期や料金、チケットの買い方までまとめて紹介します。ルネサンスって言葉は知っているけど中身はふわっとしている、という人ほど楽しめる展覧会だと思うので、予習がてら読んでもらえたらうれしいです。
どんな展覧会? ルーヴルが選んだ50点余りで「ルネサンス」を体感する
ルネサンスは、ざっくり言うと15〜16世紀のヨーロッパで大きく花開いた文化の動きです。古代ギリシア・ローマ文化があらためて見直され、人間の能力や個性、自然界への関心が高まりました。キリスト教を題材とする作品も引き続き多く作られましたが、その表現はより現実的で、人間らしいものへと変化していきます。
本展はその豊かで複雑なルネサンスを、「旅」「技法の革新と洗練」「古代へのまなざし」「肖像芸術の隆盛」という4つのテーマで読み解いていく構成です。絵画だけでなく、彫刻・版画・素描・工芸まで並ぶので、「ルネサンス=有名な絵」というイメージが、もっと立体的に更新されるはず。
いちばんの目玉:ダ・ヴィンチ《美しきフェロニエール》が初来日
やっぱり主役はこの1点。レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像(通称:美しきフェロニエール)》1490–1497年頃です。板(クルミ材)に油彩で描かれた、63.5×44.5cmの肖像画。落ち着いた暗がりの中から、こちらをそっと見返すようなまなざしが浮かび上がってきます。
おもしろいのは、《美しきフェロニエール》という名前が、作品本来の題名ではないことです。現在の正式な作品名は《女性の肖像》で、公式資料では《美しきフェロニエール》は「誤って付された別称」とされています。この呼び名が定着した経緯には、別の肖像画や人物との混同があったと考えられています。描かれた女性についても、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァの宮廷にいた女性など複数の説がありますが、現在も特定されていません。
レオナルドの真筆とされる絵画は、世界にわずか15点ほどしか現存しないとされています。そのうち5点を所蔵するルーヴル美術館から、この傑作が日本にやってくるのは非常に貴重な機会です。
前売券は当日券より一般200円、大学生・高校生は100円お得です。アソビュー!ならオンラインで購入でき、購入手数料もかかりません。会期末の12月7日〜13日は日時指定券が必要になるため、来場予定の方は事前に最新情報を確認しておきましょう。
見どころは「4つのテーマ」で読むと一気にわかりやすい
① 旅 —— 人と技術が動いて、文化が混ざる
ルネサンスは「旅」の時代でした。交易や外交、留学のために人が動き、技法や様式も国境を越えて伝わっていく。北方の画家がアルプスを越えてイタリアで遠近法を学び、イタリアの画家が北方の緻密な油彩を取り入れる——そんな相互作用が、この時代の美術を豊かにしました。
このテーマの象徴が、アルブレヒト・デューラーの木版画《サイ》。デューラーは実物のサイを見ずに、伝聞とスケッチだけをもとにこの怪獣のような姿を彫り上げました。それでも数百年にわたって「サイといえばこれ」と信じられたほど、版画というメディアの拡散力は強かったのです。
② 技法の革新と洗練 —— 「どう作るか」も見どころ
ルネサンスの美しさは、技術の進歩と切り離せません。油彩、版画、時計、陶器、七宝(エマイユ)——さまざまな分野で「作り方」そのものが更新されていきました。
たとえばブロンズ彫刻のロストワックス鋳造法。蝋(ろう)で原型を作り、その周りを固めてから中の蝋を溶かし出し、できた空洞に溶けたブロンズを流し込む——という技法です(「失われた蝋」だからロストワックス)。古代から用いられてきた技法ですが、ルネサンス期には古代彫刻への関心の高まりとともに、ブロンズ彫刻の制作技術がさらに発展しました。小さなメダルから大型の彫像まで、多彩な表現に活用されています。
③ 古代へのまなざし —— 神話と古典への憧れ
人々は古代ギリシア・ローマを「お手本」として学び直しました。オウィディウス『変身物語』のような古典が各国語に訳され、芸術家は神話の場面をいきいきと描くようになります。このテーマでぜひ見てほしいのが、サンドロ・ボッティチェリ《5人の天使に囲まれる聖母子》1470年頃。円形の画面に、繊細で流れるような線と穏やかな色彩で聖母子が描かれた、若きボッティチェリの表現を伝える一枚です。
④ 肖像芸術の隆盛 —— 「その人らしさ」を描く挑戦
この時代、「個人」という感覚がはっきりしてきます。外見だけでなく内面まで写し取ろうとする肖像画が花開き、横顔だけでなく、斜めからとらえる「四分の三正面観」が広まりました。ダ・ヴィンチやティツィアーノは、視線やしぐさの操作で、まるで生きているような似姿を作り出しています。冒頭の《美しきフェロニエール》も、まさにこの到達点のひとつです。
チケット情報(前売がお得)
料金は前売と当日で少し変わります。前売のほうが一般で200円お得。中学生以下は入場無料です。
前売券の販売期間は2026年6月18日から9月8日までです。前売券・通常の当日券で入場できるのは9月9日から12月6日まで。12月7日から最終日の13日までは日時指定制となり、通常券とは別に日時指定券の購入が必要です。
- 前売券:一般 2,200円/大学生 1,300円/高校生 900円
- 当日券:一般 2,400円/大学生 1,400円/高校生 1,000円
- 中学生以下は無料
オンラインでの前売はアソビュー!などで購入できます。会期末(12月7日〜13日)は日時指定制が導入される予定なので、混雑を避けたい人は早めの計画が安心です。
前売券は当日券より一般200円、大学生・高校生は100円お得です。アソビュー!ならオンラインで購入でき、購入手数料もかかりません。会期末の12月7日〜13日は日時指定券が必要になるため、来場予定の方は事前に最新情報を確認しておきましょう。
開催概要
| 展覧会名 | ルーヴル美術館展 ルネサンス |
| 会期 | 2026年9月9日(水)〜12月13日(日) |
| 会場 | 国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2) |
| 休館日 | 毎週火曜日(ただし9月22日・11月3日・12月8日は開館、11月4日は休館) |
| 開館時間 | 10:00〜18:00(金・土は20:00まで/入場は閉館の30分前まで) |
| 主催 | 国立新美術館、ルーヴル美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ |
※会期・料金などは変更される場合があります。最新情報は国立新美術館の公式ページをご確認ください。
もっと深掘りしたい人へ(関連書籍)
予習や復習には、ルネサンスの空気を伝えてくれる本が一冊あると、展覧会がぐっと面白くなります。行く前後に読むのにおすすめの1冊を挙げておきます。
ペン編集部 編・池上英洋 著『ルネサンスとは何か。』(Pen Books)
図版がたっぷりのビジュアルムック。フィレンツェからヴェネツィアまで、名画を大きな写真で一望できるので、会場で実物を見る前の予習にも、見たあとの復習にも最適です。文章より先に「絵で」ルネサンスをつかみたい人におすすめ。
ルネサンスとは何か。 (Pen books)[pen編集部]
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まとめ:ダ・ヴィンチ52年ぶり来日は、やっぱり見逃せない
ルネサンスという大きなうねりを、ルーヴルの50点余りでたどれて、しかもダ・ヴィンチの肖像画が初めて52年ぶりに日本で見られる。美術の教科書の最初のほうで習った名前たちが、実物として目の前に並ぶ体験は、やっぱり特別です。
ルネサンスから印象派までの流れをざっくりつかんでおくと、この展覧会はもっと面白く見られます。よかったら西洋美術史:驚きの名画 背後に隠された秘密とは? ルネサンスから印象派までもあわせてどうぞ。秋の六本木、楽しみに待ちましょう。
前売券は当日券より一般200円、大学生・高校生は100円お得です。アソビュー!ならオンラインで購入でき、購入手数料もかかりません。会期末の12月7日〜13日は日時指定券が必要になるため、来場予定の方は事前に最新情報を確認しておきましょう。

